1月末日が期日となる手続きは『給与支払報告書』 『法定調書合計表』 『償却資産税申告書』の3つになります。
どの作業も「書類を機械的に作るだけの作業」と思われがちですが、ポイントを意識して行えば節税に繋がります。
今回は、そんな償却資産税の節税を5つのポイントに分けてまとめました。
ポイント1:1月1日時点の資産内容を正確に把握する
償却資産税は『1月1日において事業の用に供することができる資産』が対象となります。
逆に言うと、『1月1日時点において所有していない資産』は申告する必要がないのです。
経理担当者の方は、次の作業を毎年必ず行い、申告不要な資産を申告してしまわないようにして下さい。
◆償却資産税申告書が届いた時点で行うこと
年内に売却した資産や、廃棄する予定の資産が「全資産明細書」に載っていないかチェックする。
◆1月1日前後で行うこと
実際の資産内容を把握し、1月2日以降に購入したものが分かるようにまとめておく。
この2つが償却資産税申告をスムーズに行うポイントとなります。
ポイント2:会計帳簿に計上されていても「申告の対象外」となる資産があるので注意する
償却資産税の対象は 「会計帳簿に計上されている固定資産」 と大体一致します。
しかし一部例外があり、償却資産税の申告の対象とならない資産があるので注意が必要です。
<例>
対象外:自動車税・軽自動車税が課税されているもの
普通自動車、軽自動車の他にも、排気量50cc以下のオートバイや小型フォークリフトなども償却資産税申告の対象外です。
対象外:無形固定資産
ソフトウェア、特許権、実用新案権など、法律上の権利や物理的実態のない資産は対象外です。
対象外:繰延資産
創立費、開業費の他にも、商店街のアーケード負担金など、税務上繰延資産として取り扱われるものは対象外です。
詳しくは、前回のブログ「償却資産税のQ&A」に記載されています。ぜひご覧下さい。
ポイント3:家屋に含まれるために償却資産税の申告が不要な資産があるので注意する
◆固定資産税というのは2種類ある
固定資産税は2種類あり、 『償却資産税』 と 『土地家屋に対する固定資産税』 があります。
償却資産税は「申告が必要」です。
反対に、土地家屋に対する固定資産税は、市区町村の方で資産を把握するため「申告不要」です。
◆家屋に含まれる設備について理解する
①償却資産税の対象として、申告が必要な設備
家屋と設備の所有者が同じ場合、生産または業務に使用する設備は償却資産として取り扱うため、申告が必要になります。
②土地家屋に対する固定資産税の対象として、申告不要の設備
家屋と設備の所有者が同じ場合、家屋に元々付いている火災報知機、衛生設備(便器等)、
エアコン以外の空調設備などは家屋に含まれているため、申告が必要になります。
設備ごとに取扱いが定められているので、詳しくは東京都主税局HPをご覧ください。
ポイント4:償却資産の時価の合計が150万円未満の場合、課税が免除されることを忘れないように!
償却資産税は次の算式により計算されます。
課税標準額とは
買った金額(取得価格)から、耐用年数と経過年数をもとに年々減少する形で計算されます。
価格の算出の結果、課税標準額の合計が150万未満の場合には
償却資産税は課税されないことになっています。この課税が免除される金額を免税点といいます。
ポイント5:経理処理を変えるだけで償却資産税の節税に繋がります
通常は法人税を節税する観点から30万円未満の資産を取得した場合には、
中小企業特例(30万円未満を全額計上する方法)を適用し、全額経費計上することが多いです。
10万円以上20万円未満の資産には中小企業特例を適用せず、
あえて3年償却を適用することにより、償却資産の節税に繋がるのです。
中小企業特例を適用し全額経費として計上した場合にはその資産は償却資産の対象となり、
課税標準に対して1.4%の税額が売却または廃棄するまでかかり続けます。
今回の方法は、10万円以上20万円未満の資産をあえて3年償却とすることで、
償却資産税の申告の対象外にするというものです。
この方法を採用するあたっては、償却資産税が節税にありますが、法人税にも影響が出るので、
十分な検討を行うようにして下さい。
最後に
今回は「節税のポイント」についてお伝えさせて頂きました。
償却資産税申告書は毎年同じような作業に見えますが、
経理担当者の方は知っておかなければならないポイントがいくつかあります。
今回の償却資産税の3つのブログがみなさまのお役に立てると嬉しいです。
ぜひご活用ください!
弊社では、申告のお手伝いだけでなく、償却資産税についてのご相談もお受けしております。お気軽にご相談ください。