2016.02.17

FINAL TAX RETURN

災害や盗難被害の味方、雑損控除ってなに?

◆はじめに


いかに金銭プランがしっかりした人でも、予定外の出費というのはありますよね。
その一つに天災や盗難の被害があります。
たとえば、家が火事になる、車が盗難される、お店の売上を持ち逃げされるなどです。
住居や車などは生活に必要なものなので買い戻さなければならず、会社の売り上げがなくなったら補てんしなければなりません。

自分が被害者なのに損失を受ける、そんな踏んだり蹴ったりの状況の助けになるのが雑損控除です!

-shared-img-thumb-MAX87_guragurasuru20140531_TP_V.jpg

◆雑損控除とは?

 
雑損控除とは天災や盗難などによって自分の資産が損害を受けてしまった場合被害に応じてなされる所得控除のことで、所得税法第72条に明記されています。
雑損控除を受けられるのは納税者と、納税者と家計を同じくする配偶者や親族で総所得金額が38万円以下の人となります。
確定申告の時に申請するのですが、盗難なら警察への盗難証明書、天災なら消防署の被災証明書が必要になります。また控除の計算に必要な災害関連支出には領収書が必要です。

◆どのくらい控除される?


実際にどのくらい控除されるのか、計算式はこのように設定されています。
(1)(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(2)(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
上記2つのうちどちらか多い方が雑損控除の控除額となります。

この式だけだとわかりにくいので具体的な例を挙げて考えてみましょう。

【例】台風で家の屋根(損害額40万円)が壊れてしまいました。加入していた保険金25万円の受取に加え雑損控除を受けることとなりました。
被害者の総所得は500万円、がれきの撤去などの災害関連支出は30万円でした。

この場合を先ほどの計算式に当てはめてみましょう。
(1)(40+30)-25-500×10%=-5
(2)30-5=25
今回は(2)が(1)より多いので控除額は25万円になります。
またこの控除額が納税額を上回る場合は最大3年にわたって控除を受けられます。

◆さいごに


このように不本意な損失の強い味方となる雑損控除ですが、一部例外もあります。
たとえば詐欺や恐喝などでの被害には適用されません。
刑法では処罰の対象になっても、税務上では通常の金銭のやり取りの一部に含まれてしまうからです。

また、あくまで生活の補助のための控除であるため、宝飾品や別荘、趣味で購入した車等は控除の計算の対象になりません。
自分に非がない損害を受けたときは、必要以上の出費を防ぐために積極的に雑損控除を利用していきましょう!

弊社では、雑損控除が適用されるかなど、確定申告に関するご相談もお受けしております。
お気軽にご相談ください。

ALL