今回はイケてる会社のつくり方シリーズ第4弾として、
会社を創るときの株主構成について書かせて頂きます。
なお、過去のブログはこちらになります。
<イケてる会社のつくり方シリーズ>
第1弾「社名編」:ソニーの社名の由来って?隣の素敵な会社より10倍イケてる会社の創り方
1 イケてる会社は名前がカッコいい!
第2弾「決算月と設立日編」:ユニクロはなぜ8月決算?隣の素敵な会社より10倍イケてる会社の創り方
2 イケてる会社は決算月をスマートに決める!
3 イケてる会社は設立日もしっかり考える!
第3弾「資本金編」:資本金わずか1万円の差で200万円の節税!隣の素敵な会社より10倍イケてる会社の創り方
4 イケてる会社の資本金は100万円以上!
5 イケてる会社が守るべき株主構成とは!
会社を設立する際に、最初に資本金を会社に振り込む人を「発起人」といいます。
発起人は、設立時の定款(会社のルール)を作成したり、取締役や代表取締役を選任したり、会社の本店をどこに置くかを決めたりと設立される会社の重要事項を決める重要な役割を担っています。
設立時に資本金となる原資を出資した人が株主となりますが、その株主構成で気をつけなければならないポイントをご説明します。
そもそも株主ってどういう人を指すの?
会社をつくろう!となったとき、資本を提供する人が株主です。それは、あなた自身であったり、家族または一緒にやっていこうとするパートナーであったりします。
その他にも色々とありますので、まず、株主ごとの特徴を簡単にご説明します。
■オーナー・親族
一般的にオーナー、オーナーと一心同体である配偶者や二親等内の親族がこれにあたります。
一番の安定株主であり、通常は上場準備を始めるまでは大株主として経営支配権を握っています。
■非同族役員
一般的に上場会社では役員が経営責任を示すために自社株の一部を保有すべきであると考えられています。
これは将来のキャピタルゲインを考慮すると、インセンティブ目的でも一致するため有用です。
■従業員・従業員持株会
従業員に対して自社株を購入してもらい長時間保持してもらうことにより、個人的な資産形成をはかってもらいます。
安定株主としてシェアしてもらうだけでなく、従業員に対する福利厚生としても有用です。
■取引先
取引先が会社の技術やノウハウに興味を持ち、取引先自身のビジネスにもシナジー効果がある場合に、業務提携を前提に資本参加する場合が多いです。
しかしながら、ビジネスパートナーでなくなった際は資本関係が解消される可能性が高く、安定株主としては機能しないかもしれません。
■金融機関
現在は金融機関自身の業績や規制の変化により持ち合い解消が進んでいるため、銀行に安定株主として大きな役割は望めなくなりつつありますが、一方で生命保険会社や損害保険会社の機関投資家が中長期的に株式を保有する場合があります。
■ベンチャーキャピタル
IPOやバイアウトによりキャピタルゲインを得ることを目的とするベンチャーキャピタルは、長期的には安定株主にはなりにくいです。
しかしながら最近では膨大な資金力を背景に、IPO以後も企業と協力して企業価値を高め、長期的に投資利益の最大化をはかるベンチャーキャピタルも出てきています。
投資スタンスを吟味し株主として受け入れるかを判断しましょう。
■投資ファンド
出資者を集め、組合や投資事業組合を組成することにより、出資者から集めた原資を未上場企業やM&Aに集中投資することでキャピタルゲインを出資者に配分するスキームです。
慣れ合いで失敗する株主構成
資本政策を進めていく上で、最も注意しなければならないのが、2人が株主となって会社を設立する場合です。
日本人の感覚だと、夫婦や兄弟、大学の友人や会社の元同僚など、身近な2人で協力しあって会社を成長させていくことに会社経営の理想像を置く方は多いと思います。
2人の持株数に差があれば問題無いですが、全く同じ株式数を保持して会社経営を行うとなった場合は、会社運営上の最大のリスクを持つことになるといっても過言でありません。
2人が同じ方向を向いて、何でも合意できるような状況であれば何も問題ないですが、会社経営を進めていく上で、経営方針の違いや役員報酬等の待遇の不満、事業の方向性の違いといったズレは必ず生じてきます。
そのような場合、株主総会等で決定すべき項目が「過半数」の要件を満たすものはすべて平行線を辿ることとなります。
「過半数」は、文字通り50%超です。50%では成立しません。
そうなると、定款変更、株式移転、減資、取締役の選任や解任などといった会社の経営の根幹となる事項が決まらなくなってしまいます。
究極の防衛策は3分の2以上の株式の確保
では、実際にはどのような持分で株主構成を決めていけばいいのでしょうか。
最初に書いたとおり、まずは「安定株主」で揃えるのがベストですが、例えそうならなくても、一定の割合を確保することが大切となります。
株主の権利は下記の様に持ち株割合に応じて決められています。
議決権割合など |
株主の権利等 |
1株 |
計算書類・取締役会議事録の閲覧権 |
1% |
株主総会決議提案権 |
3% |
株主総会招集請求権 |
10% |
会社解散請求権 |
15%~20% |
(当社が)15%~20%の株式を所有する会社については、 |
1/4超 |
株式相互持合による議決権の制限 |
1/3超 |
株主総会での特別決議を否決可能 |
1/2超 |
株主総会で普通決議を行うことができる |
2/3以上 |
株主総会で特別決議を行うことができる |
つまり、オーナーであるあなたが会社株式の3分の2以上を保持していれば、ほぼ全ての決定事項があなた自身の判断に委ねられることになります。
議決権割合をキープすることは、単に経営権を守るだけではありません。
計算書類や帳簿の公開を防ぐことにより、得意先との取引への影響を減らすなど、自社の売上や仕入にもすぐにインパクトを与える可能性があります。
【まとめ】
イケてる会社のつくりかた~株主構成編
■株主による株式取得の目的を考慮し、外部資本の受け入れを検討しましょう。
■50:50のようなイーブンな株主構成にならないようにしましょう。
■可能な限り(できれば3分の2以上)の議決権割合を保有し、自社の経営権を守っていきましょう。
株主の権利は実に多様であることから、大企業、中小企業問わず株主構成を考えた資本政策は必要不可欠です。
将来的に株主総会で行う重要な決定事項を、株主の反対で否決されるようなことのないよう、会社設立時から将来を意識した株主構成を考えることをお勧めします。
次回は会社設立に関係する事項として、パートナーとなって貰う人は取締役などの役員として雇うべきか、
それとも従業員として雇うべきなのかといった雇用の仕方について、会社そしてパートナーとなる方のメリット・デメリットをご紹介したいと思います。
弊社では会社設立などの登記に関する手続きのほか、中小企業の株主構成のご相談やIPOに向けての資本政策のご相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。