前回は所得控除について簡単に書きましたが、今回はその15種類の所得控除の中から医療費控除について書きたいと思います。
というのもこの医療費控除、意外と控除の対象が広いのですが、それを知らないがために損している人が多いのです。
中には医療費が10万円未満の人は控除を受けられないと勘違いしている人もいます。
≪そんなに広いの!?医療費控除の対象≫
まず医療費控除とは
前回のこちらの記事で簡単に書きましたが、
支払った医療費を控除してくれるという、見てそのままの制度です。
ではここで言う"医療費"とはどこまで認められるのか。
実はすごく広いんです。
- ・病院の治療費
- ・入院中の部屋代、食事代
- ・通院のための電車代,バス代
- ・接骨院やマッサージ等の治療費
- ・子どものための歯科矯正
- ・松葉杖代
- ・調剤薬局の薬代
- ・市販の風邪薬
- ・老人用おむつ代
- ・不妊治療費
- ・眼科で処方された目薬
さらっとあげただけでこれだけあります。
病院の治療費だけしか認められないと誤解されてる方も多いのですが、
実は市販の風邪薬や、通院のための交通費も認められてるんです。
交通機関で行くことがは困難な場合や、急を要する際はタクシー代も認められます。
ただあくまで"医療費"の控除ですので美容や予防など治療以外のことは対象になりません。
例えばこれらです。
- ・インフルエンザの予防接種代
- ・人間ドッグの費用
- ・美容整形
- ・大人のホワイトニング
- ・マスク
- ・サプリメント
予防接種は医療行為なので医療費控除の対象に見えがちですが
治療ではないのでダメなんです。
なので判断に迷った場合の指針として
治療のための医療費は○
予防のための医療費は×
と覚えておくと分かりやすいです。。
逆に言えば本来控除にできないものも「普通の生活を営むためにはどうしても必要な治療だったんです」と、"治療"と認められれば控除を受けられることがあるそうです。
税務署によって判断も変わるわけですね。
なのでCMでよく見る薄毛のAGA治療も基本的には控除対象外ですが、美容ではなく治療なんだ!と認めてもらえれば控除対象となる場合があります。
(弊社では責任は負いかねますが。。)
≪医療費が10万未満でも控除対象!?≫
どの範囲まで認められるのかが分かったところで、
次に控除額の計算方法を説明したいと思います。
計算式は以下のようになります。
支払った医療費 -支給された保険金等 -10万円、または 総所得金額の5%(少ない方を適用)
このような計算式のため、医療費が10万未満だと医療費控除を受けられないと誤解している人が多いです。
多くの人が見落としているのですが、所得額の5%が10万円未満の場合は10万円ではなくその5%が引かれることになるため、要するに所得200万未満の人は医療費10万未満でも控除を受けることができるんです。
なので所得によって控除額が変わることになります。
ちなみに注意点として"年収"ではなく"総所得"で判断します。
源泉徴収票をお持ちの方は以下の赤でかこまれた"給与所得控除後の金額"を確認してください。
ここの金額が200万前後どちらなのかという話です。
例を出してみましょう
年間医療費が15万円、保険金が3万円下りたとします。
総所得300万円の人の場合
150,000円-30,000円ー100,000=20,000円
この20,000円が控除適用額になります。
総所得150万円の人の場合
150,000円-30,000円-75,000=45,000円
控除額は45,000円となります。
総所得が150万円の人は総所得300万円の人に比べて控除適用額が25,000円も多い結果になります。
という同じ負担額であっても控除額が変わるというお話なのですが、だからと言って皆さん所得を下げましょうというお話ではありません。
たとえば共働きしている家庭の場合。妻の総所得が200万未満ということはよくあります。
この場合医療費が10万円以上なら年収の多い(税率が高い)旦那が申告した方がお得ですし、医療費が10万円に満たないのであれば妻が申告した方が還付を受けられる可能性があります。
このように状況に応じて何が一番お得なのかということを判断することが大事なのです。
まとめ
- ・医療費控除の対象は意外と広い
- ・対象は治療に関するもの。予防や美容は適用外
- ・医療費10万円未満でも総所得200万未満であれば控除対象になる。
ざっくりまとめましたが、実際申告書を作ってみようとなると、通院の交通費はどう入れたらいいのか、どういう方法が一番得をするのかなど、細かい部分でわからない事がたくさん出てくると思います。
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