2016.07.08

もうすぐ変わる!?103万円の壁と130万円の壁の仕組みと今後

何かとよく耳にする、103万円と130万円の壁。
当ブログでも、こちらこちらの記事で壁について触れてきましたが、今回はご夫婦の目線から、さらに詳しく、今後の行方も踏まえながら仕組みをご説明していきます。

103万円の壁.png

103万円の壁

103万円の壁には、2つの意味があります。

①   所得税がかからない103万円の壁についておさらい

所得税には38万円の「基礎控除」と、最低65万円の「給与所得控除」があり、
パートなどの収入がこれらの合計である103万円以下であれば、課税の対象になる所得がゼロになるという仕組みです。

 ※詳しい計算式はこちらの記事の「◆所得税の場合」をご確認ください。

 ②   「配偶者控除」と103万円の壁

 「配偶者控除」とは、

・民法規定の婚姻関係にある配偶者(内縁関係は認められない)であって、
・納税者と同一生計者であり (別居も可)、
・青色申告の専従者給与の支給がない、又は白色事業専従者の対象でなく、
配偶者の合計所得金額が38万円以下

の場合に受けられる控除です。

つまり、妻の給与収入が103万円であれば、「給与所得控除」の65万円を控除すると合計所得金額が38万円となり、
配偶者である夫の課税対象となる給与所得からも、「配偶者控除」として38万円を差し引くことができるというものです。

※妻の給与収入が103万円を超えてしまったら...

給与収入が103万円を超えると、妻自身にも所得税がかかるのはもちろんのこと、
夫の「配偶者控除」も使えなくなり、その代わりに給与収入103万円から141万円まで段階的に控除額が減少していく「配偶者特別控除」を受けることになります。

例えば給与収入が120万円と140万円の場合

120万円-65万円(給与所得控除)=合計所得金額55万円となり、控除額は21万円

140万円-65万円(給与所得控除)=合計所得金額75万円となり、控除額は3万円

となります。(下図参照)

配偶者特別控除の所得ごとの控除額

配偶者の合計所得金額

配偶者特別控除の控除額

38万円を超え40万円未満

38万円

40万円以上45万円未満

36万円

45万円以上50万円未満

31万円

50万円以上55万円未満

26万円

55万円以上60万円未満

21万円

60万円以上65万円未満

16万円

65万円以上70万円未満

11万円

70万円以上75万円未満

6万円

75万円以上76万円未満

3万円

76万円以上

0円

130万円の壁

この130万円(月収約11万円)の壁は分厚い壁です。
給与所得者の妻の場合、社会保険上の扶養となることで「国民健康保険料」および「国民年金保険料」が免除されているのですが、
130万円を超えた場合、所得税や住民税以外にこれら2つの保険料の支払いが必要となってくるのです。

この負担は129万円まではかからず130万円になった瞬間から発生し、「配偶者控除」の103万円の壁のよう段階的に負担が発生するわけではなく、負担増は20~30万円程度と考えられます。
また、130万円を超える場合は、160万円以上収入を得ないと世帯の収入が減少する場合が多くなってしまいます。

※自営業者のように夫がそもそも国民健康保険や国民年金に加入している場合には、130万円の壁は存在しません。

壁が崩れる!?制度の今後について

①   2016年10月から、社会保険の壁が130万円と106万円の2種類へ

 2016年10月よりパートやアルバイトのうち年収106万円以上などの条件を満たした場合、社会保険の加入対象者となります。
つまり、社会保険の壁が130万円から106万円に下がるってことね!と思っている方も多いかもしれませんが、そうではありません。

106万円の壁は、パートやアルバイトなどの短時間労働者が社会保険に加入する収入についてのラインなのですが、

130万円の壁は、妻が給与収入を得ている場合に、夫の社会保険上の扶養家族に入れなくなるラインのことなのです。 

106万円の壁の条件に該当しなければ、2016年10月以降も引き続き年収130万円未満までは社会保険への加入義務はなく、
夫の扶養に入り、かつ手取りを下げないようにすることが可能となります。

詳しい条件などはこちらの記事を御覧ください。

②   早ければ2017年1月に配偶者控除の廃止へ

サラリーマンの夫にとって「配偶者控除」は重要な所得控除となっており、年額38万円の控除は税額にして約3万8,000円の節税の効果を果たしているといわれていますが、「配偶者控除」の廃止は濃厚となっています。
早ければ2017年1月から「夫婦控除」という新制度の施行が検討されていますが、具体的な制度の内容は発表されておらず先行きが不透明であり、今後の動向を注視する必要があります。

おわりに

「103万円の壁」と「130万円の壁」に、さらに「配偶者控除の廃止」と「106万円の壁」が直面するタイミングがやってきます。
収入を抑えても恩恵を受けることができなくなるのであれば、まずはご自身の家庭、家計の状況を整理し、「壁」を気にせず収入を増やすことを考えてみてもいいのかもしれません。

 

弊社では、通常の会計業務に加えて、 奥様の年収やご家族の構成に合わせて、ご自身の収入がどのように変化するのかというご質問に対応することもできます。お気軽にお問合せ下さい。

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