2016.02.19

FINAL TAX RETURN

「スーツや接待も控除の対象!?【給与所得控除と特定支出控除】」はがけんの学習紀行:第9話

個人事業主の方は売上から必要経費を抜くと所得になりますが、サラリーマンの方も必要経費かかっていますよね?
個人事業主の人うらやましいなーって思っていた方!
実はサラリーマンの方も必要経費の代わりとして給与から控除されていますし、定められた金額以上に控除できることもあるのです!
今回はそんなお話をお送りします。 

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給与所得控除とは

給与所得控除は、
いわゆるサラリーマンの方の「必要経費
というとわかりやすいと思います。
個人事業主の方ですと、売上から仕入や販売経費を差し引いたものが所得となりますが、サラリーマンの方だとそれがありません。
そのため、あらかじめ定められた金額を「必要経費」の代わりとして、控除が認められているのです。
これを給与所得控除といいます。
令和2年分以降の収入金額と控除額の金額の表は以下のとおりとなっています。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)

給与所得控除額

1,625,000円以下

550,000円

1,625,000円超 1,800,000円以下

収入金額×40%+100,000円

1,800,000円超 3,600,000円以下

収入金額×30%+80,000円

3,600,000円超 6,600,000円以下

収入金額×20%+440,000円

6,600,000円超 8,500,000円以下

収入金額×10%+1,100,000円

8,500,000円超

1,950,000円(上限)

出典先:国税庁

特定支出控除とは

サラリーマン(給与所得者)の方が特定の支出をした際に、確定申告を行うことで基準額を超えた分を控除することができます
これを特定支出控除といいます。
国税庁HPに詳細が書かれていますが、わかりやすく特定支出に該当するものを挙げていくと、
引越し代・定期代・単身赴任で帰宅する旅費・本代・スーツ代・接待費
など、会社から手当てが出ずに自腹で支払ったもので、会社が業務上必要と認めたものです。
なお、平成28年以降の収入金額と控除基準額の金額は以下のようになっています。 

その年中の給与等の収入金額

特定支出控除額の適用判定の基準となる金額

一律

その年中の給与所得控除額×1/2

出典先:国税庁HP

仮に年収480万円の方の場合、特定支出控除額の適応判定の基準額は
(4,800,000円×20%+440,000円)÷2=700,000円
になります。 

こんな人該当します

給与所得控除は基本的に年末調整の時に会社で計算されるので、問題なく控除されます。
特定支出控除に該当する方は自腹でこんな支出をした人です!
・定期代を支払った
・転勤になって引越し代や交通費を支払った
・業務に必要なセミナーに参加してお金を支払った
・税理士や弁護士などの資格を取るために授業料を支払った
・単身赴任中で家族の下へ帰るときに交通費を支払った
・業務に必要な本・スーツを買った
・接待をたくさん行った 

具体的に

年収360万円の人が特定支出に該当する支出が80万円あった場合...
給与所得控除...3,600,000×30%+80,000=1,160,000
特定支出控除...800,000円-(1,160,000円×1/2)=220,000
確定申告した場合の給与所得 ...3,600,000円-(1,160,000円+220,000円)=2,220,000
確定申告しない場合の給与所得...3,600,000円-1,160,000円=2,484,000
これだけで考えてみると、確定申告をしない場合とした場合では、控除額が264,000の差になりますし、確定申告したら所得税が264,000円還付されることになるのです!
知らないだけでこれだけ多くの税金を支払っていることになってしまうので、知らないって怖いですね。

注意点

ここまで見ていただいた特定支出控除ですが、こちらを適用させるためには会社の承認が必要です。
国税庁に掲載されている「証明書」を会社に発行してもらって、はじめて適応されます。
最近できた制度なため、社内規定が対応していない場合もありますので、確認が必要です。
担当部署は時期によってかなり忙しいこともあるので、早めに相談することをおすすめします。
また、本やスーツ、飲み会代などの勤務必要経費は上限65万円と決まっていることもあるので、注意するようにしてください! 

終わりに

給与所得控除と特定支出控除には様々な条件があるものの、サラリーマンの方が検討できる余地のある控除制度だと思います。
しかし、この控除を適応させるために支出を増やすことは本末転倒ですので、あくまでも必要経費として多額の支出をした方のみ適用の検討をして頂きたいと思います。
その他、たくさんの控除を紹介しているので、ぜひご覧ください! 

 

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