健康で過ごせることが一番ですが、どうしても病気になったりケガをしてしまうことはあります。
病気やケガになってしまうと心身ともにダメージをうけてしまいますね。
身体の方は病院にいけばある程度よくなりますが、お金がかかってしまうし、心のケアはなかなかできません。
医療費控除を使えばお金と心の負担が少し減るかもしれません!
◆医療費控除とは
医療費が多くかかった年に、医療費の負担を軽くするために受けることができる、
一定金額の所得控除
を医療費控除といいます。
確定申告を行えば一定金額が税金から控除されます。
◆医療費控除の計算方法、要件
一般的には「年間の医療費が10万円を超えた人」として認識されていますが、医療費控除として控除できる金額は医療費の年間合計から総所得金額等の5%又は10万円のいずれか低い金額(200万円が限度)を控除した金額となります。
つまり、給料だけしかもらっていない人であれば給与収入で311万4千円、給料所得控除後の総所得金額が200万円以下であれば医療費が10万円以下でも医療費控除を受けることができます。
医療費が10万円に達していなくても医療費控除を受けられる可能性があるのでぜひ確認してみてください!
計算式は以下のとおりです。
医療費控除の対象=【実際に支払った医療費の合計額】-【保険金などで補填される金額】-【10万円】または【その年の総所得金額が200万円未満の人は総所得金額の5%の金額】
なお、「保険金などで補填される金額」とは、保険契約などで支給される入院給付金や高額医療費・家族療養費・出産育児一時金など、払い戻しを受けたり支給されたりした金額をさします。
◆医療費控除の対象となるもの、ならないもの
医療費控除の対象となるのは主に治療目的のものです。予防や美容が目的のものは認められないので注意しましょう。
以下の表は対象となるものと対象外のものの一覧です。国税庁のホームページに詳細が書かれています。
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対象となるもの |
対象外のもの |
治療・療養 |
・医師に支払った医療費、治療費 ・治療のためのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の費用 ・異常がみつかり治療を受けることになった際の健康診断費用 |
・診断書の作成費用 ・予防接種の費用 ・異常が見つからない際の健康診断費用 ・美容のための整形手術の費用 |
歯科 |
・虫歯の治療、入れ歯の費用 ・治療としての歯科矯正 |
・美容のための歯科矯正 |
医薬品 |
・医師の処方による薬 ・治療のために購入した医薬品 |
・疲労回復、健康増進のため購入したビタミン剤 |
入院・通院 |
・通院、入院のための交通費 ・公共交通機関での移動が困難な際のタクシー代 ・通院のために必要な松葉杖や車いすなどの費用 |
・通院や入院のための自家用車の燃料代 ・自己都合で希望する差額ベッド代 ・入院のための寝具、洗面具の費用 ・入院時に支払うテレビや冷蔵庫の費用 ・別途購入した食品などの費用 |
出産 |
・妊娠中の定期健診、出産費 ・助産師による分娩の介助料 ・流産の場合の手術費、入院費、通院費 ・不妊治療費、人工授精の費用 |
・母体保護法の規定によらない妊娠中絶費 ・無痛分娩講座等の受講料 ・里帰り出産のための交通費 |
その他 |
・医師の証明がある場合のおむつ使用料 ・医師の証明がある場合のケアハウス使用料 |
・通常の眼鏡、コンタクトの購入費 ・補聴器の購入費 ・転地療養のための費用 |
○誰の医療費が対象となるか
生計を一にしていれば自分の医療費だけでなく、配偶者や子供、孫、祖父母の医療費も併せて医療費控除の対象とすることができます。
また、「生計を一にする」ということは同居していなくても対象になります。例えば、別居していても休日一緒に過ごしている場合や、常に生活費、学費、療養費等の送金が行われている場合には「生計を一にする」として取り扱われます。
※逆に同居していても明らかに互いに独立した生活を営んでいる場合は「生計を一にする」とは扱われません。
◆医療費控除を受けるために必要なもの
○確定申告書
医療費控除を受けるには、控除を受ける年の確定申告書を作成し提出する必要があります。
○医療費に係る領収書やレシート
医療費控除を受けるためには、かかった費用の領収書を保存しておく必要があります。領収書の発行が難しい公共交通機関による通院費等は、日付・金額・目的・人数をメモしておくとそれが領収書の代わりになるので必ず書き留めておいてください。郵送する際は封筒に入れてまとめておきましょう。
○医療費の明細書
確定申告書と一緒に提出する必要があります。通院や入院回数が多くない場合は各欄に記載し、定期通院等で各欄に書ききれなくなった場合は病院・薬局・人別などに分けて合計額をまとめて転記することも可能です。
明細書のダウンロードはこちらからできます。
○源泉徴収票(給与所得がある場合)
年間総所得金額が200万円未満の場合、総所得金額の5%が控除されることからその確認のために必要になります。
郵送する場合はこれらの書類を封筒に入れて最寄りの税務署に提出すれば医療費控除を受けることができます。
◆知っておいた方がいいポイント
○医療費控除は5年まで遡って申告できる
確定申告と同様に5年間は遡って申告することができます。例えば平成27年分の医療費控除の適用を受ける申告は平成28年1月1日から5年間、つまり令和2年12月31日までの期間内であれば医療費控除による還付のための申告を行うことができます。
○住民税が安くなる
住民税には均等割と所得割があり、医療費控除には所得割の方が関係します。所得割の計算方法は以下の通りです。
1. 所得計算(収入-支出)
2. 課税所得計算(所得-所得控除)
3. 税額計算(課税所得×税率)
医療費控除は2の所得控除の1つという扱いになります。医療費控除がされれば課税所得額が減るのでその分税金が減ることになります。住宅ローン控除などにより所得税の支払いがない人でも住民税は減るので医療費控除の確定申告をするようにしましょう。
○家族の中で1番収入が多い人が申告をする
所得税は所得が高い人ほど税率が高くなる累進課税を適用しているので所得の高い人がまとめて申告を行ったほうが有利になる場合があります。
○医療費の支払いは年内に済ませておく
例えば医療費15万円を今年8万円、来年7万円と分けて支払ってしまうと医療費控除の対象となりません。同年中に15万円払うと15万円-10万円で5万円の控除を受けることができますが、分けて支払ってしまうと控除額は0です。医療費控除を受けるためにまとめて支払うようにしましょう。
◆おわりに
医療費控除は医療費が一定額以上かかった人なら誰でも受けることができる制度です。申告さえすれば誰でも簡単に受けられます。控除が受けられる条件と医療費を確認してみて、医療費がかかってしまった人はぜひ活用してください!